9世紀大モラヴィア国に遡る東方起源の伝統を継ぐ、ヤナーチェクのモラヴィア合唱ヤナーチェクの創作の重要分野のひとつが合唱で、生涯にかなりの作品を残しています。多くがモラヴィアの民謡を源泉としているもので、ヤナーチェクならではの深いメランコリーと苦みに満ちた独特の味わいがあります。ここには民俗的なものと宗教的なものから魅力的な7作品が選ばれ、ヤナーチェクの合唱世界を俯瞰できるようになっています。 興味深いのは母国の偉大な先輩ドヴォルザークの『モラヴィア二重唱曲集』から6曲をヤナーチェクが混声合唱に編曲したもので、ヤナーチェク特有の和声がますます民俗色を濃くしています。ドヴォルザークとヤナーチェクふたりの天才性が倍加する稀有な宝と申せましょう。また、愛娘を失った慟哭『わが娘オルガの死を悼む悲歌』の悲痛さも心を打つ内容となっています。一方、伝承音楽に基づく『わらべ歌』は全20曲から成り、カラフルな東欧色にあふれ、音による小旅行を楽しめます。 1970年結成のカペラ・アムステルダム。ダニエル・ロイスの指揮のもとに、古典から近現代まで、幅広いレパートリーを誇っていますが、ここでも民族色豊かなユニークな世界を見事なチェコ語で再現しています。1961年生まれのダニエル・ロイスは、ロッテルダム音楽院で合唱指揮を学び、1990年にカペラ・アムステルダムの指揮者に就任、2000年にはRIAS室内合唱団の指揮デビューも飾っています。2003〜2007年、ベルリンRIAS室内合唱団の首席指揮者を務めました。2006年のルツェルン音楽祭アカデミーで、ブーレーズの招きで指揮の指導者として登場。2015年より、ローザンヌ声楽アンサンブルの首席指揮者を務めています。(輸入元情報)【収録情報】ヤナーチェク:1. 6つのモラヴィア合唱曲(原曲:ドヴォルザーク:モラヴィア二重唱曲集) もし大鎌が鋭く磨かれていたら スラヴィコフの小さな畑 もみじの木にいる鳩 仲よく別れよう 野ばら 若者よ緑にもえよ2. 野鴨3. 狼の足跡4. カンタータ『わが娘オルガの死を悼む悲歌』5. わらべ歌(序奏と18曲とエピローグ)6. 我らの夕べ7. アヴェ・マリア8. 我らの父 カペラ・アムステルダム トーマス・ウォーカー(テノール) フィリップ・マイヤーズ(ピアノ) ラジオ・ブレイザーズ・アンサンブル(5) ダニエル・ロイス(指揮) 録音時期:2010年11月 録音場所:アムステルダム 録音方式:ステレオ(デジタル/セッション)Powered by HMV