マーラー交響曲《大地の歌》大植英次指揮ミネソタ管弦楽団翻訳(翻案?)著作を通じて東洋の無常観に触れたマーラーの思いが、きわめて特殊な形式の交響曲として実を結んだ傑作《大地の歌》に、東洋の指揮者が挑んだ話題盤。晩年の斎藤秀雄に師事し、その後、小澤征爾に弟子入りして渡米、バーンスタインに出会って大きな影響を受けた大植英次の音楽づくりは、精緻な繊細さとはっきりとした表情を兼ね備えたもので、この作品でも、ゆったりしたテンポを採用し、随所に聴かれる自然音的効果にもきちんとした配慮が成されているのが印象に残ります。ミネソタ管弦楽団の純度の高いサウンドを克明に捉えたリファレンス・レコーディングならではの優れた録音技術も特筆されるところで、オーケストラと渾然一体となってつややかな美声を聴かせる若手歌手の頑張りぶりも実によく伝わってくるのが印象的です。Powered by HMV