19〜20世紀の女性作曲家による標題音楽集作品を聴く前に、それが男性によって作曲されたのか、女性によって作曲されたのかを知る必要があるでしょうか。その情報は、私たちの聴き方や判断に影響するのでしょうか? この録音で選ばれた作品は、いわゆる「標題音楽」です。作曲家は、音楽以外のテーマを聴覚的な手段で描写しています。純粋な音による物語を堪能できる1枚です。 オーギュスタ・オルメス[1847-1903]は、パリ音楽院に女性だからという理由で入学しなかったものの、リストにその才を激励され、フランクに入門します。ドビュッシーもオルメスの才能を認めていました。フランクの遺作となったオルガン作品『3つのコラール』の2曲目はオルメスに捧げられています。この作品はオルメス最後の交響詩です。 リリ・ブーランジェ[1893-1918]はローマ大賞を受賞した最初の女性作曲家。健康上の問題で夭折したこともありその作品は多くはありませんが、どれも珠玉の天才の光が感じられます。 メル・ボニ[1858-1937]は作品のタイトル以外に原作となった詩などについては示唆していないため、聴き手はタイトルから様々にイマジネーションをふくらませて作品を聴くことができます。ケクランのもとでオーケストラの書法に磨きをかけていた時期の作品で、色彩豊かな世界が広がります。 ベッツィー・ジョラス[1926-]の『A Little Summer Suite』は夏(6月)に書き上げられたということでつけられたタイトル。ラトル指揮ベルリン・フィルから委嘱を受けて作曲された7つの楽章から成る作品です。『展覧会の絵』に大いに影響を受けたといいますが、低弦による開始やその後の迫力ある不協和音など、非常に刺激的な作品で、ベルリン・フィルのメンバーからも大歓迎された、管弦楽の醍醐味にあふれた作品です。(輸入元情報)【収録情報】1. オルメス:アンドロメダ2. L.ブーランジェ:春の朝に3. L.ブーランジェ:交響詩『哀しみの夜に』4. メル・ボニ:伝説の女たち(クレオパトラの夢/オフェーリア/サロメ)5. ジョラス:A Little Summer Suite メス・グラン・テスト国立管弦楽団 デイヴィッド・レイランド(指揮) 録音時期:2021年10月26-30日 録音方式:ステレオ(デジタル/セッション) 世界初録音(5)Powered by HMV