ホルスト:合唱交響曲、神秘のトランペッターアンドルー・デイヴィス&BBC交響楽団シャンドスのホルスト・シリーズ第3弾は、声楽とオーケストラのための作品を2曲収録。神秘的で英国風な雰囲気を湛えた『合唱交響曲』と、ワーグナー風な力作『神秘のトランペッター』を、アンドルー・デイヴィス指揮するBBC交響楽団&合唱団、スーザン・グリットンが美しく演奏しています。【シャンドスのホルスト管弦楽作品シリーズ】リチャード・ヒコックスの指揮で開始されたシャンドス・レーベルの新たな企画「ホルスト管弦楽作品シリーズ」は、ヒコックスの急逝のため、2008年暮れの第1弾リリースで止まっていましたが、2011年に、アンドルー・デイヴィスが引き継ぐ形で再開、今回の第3弾も同じくアンドルー・デイヴィスの指揮により、リリースの運びとなりました。【合唱交響曲】オリジナル・タイトルは「First Choral Symphony」なので、本来は「合唱交響曲第1番」とすべきなのですが、ホルストは実際には第2番を書いていないため、「合唱交響曲」とするケースが多くなっているようです。 この曲は、英国ロマン主義の詩人、ジョン・キーツ[1795-1821]の神話風な詩をテキストに用いたもので、ホルスト円熟期に作曲がおこなわれており、ヴォーン=ウィリアムズ風ともいわれる神秘的で平穏な美しさが印象深い仕上がりとなっています。【神秘のトランペッター】ホルストがスコットランド管弦楽団のトロンボーン奏者を辞め、ダリッジ・ガールズ・スクール音楽教師になった30歳の年に書かれた作品で、南北戦争を背景としたウォルト・ホイットマン[1819-1892]の詩からインスパイアされていますが、音楽はワーグナーの影響を強く感じさせるが神秘的な壮麗さの際立つものとなっています。【アンドルー・デイヴィス】アンドルー・デイヴィスは、1944年の生まれ。オックスフォード大学キングス・カレッジでオルガンを学びますが、在学中から指揮の才能を認められ、卒業後ローマの聖チェチーリア音楽院へ留学、フランコ・フェラーラに指揮法の基礎を授かります。帰国後は英ロイヤル・リヴァプール・フィルハーモニー協会に選抜されて経験を重ねる一方、ネヴィル・マリナー率いるアカデミー・セント・マーティン・イン・ザ・フィールズの鍵盤楽器奏者としてプロの演奏家の道を歩み始めます。 そのキャリアが急展開をみせるのは、1970年11月、准指揮者のポストにあったBBCスコティッシュ交響楽団の演奏会で急遽代役指揮を務めてセンセーショナルな成功を収めてから。翌年からはイギリス国内の主要オケに次々と客演する多忙な日々がはじまり、1975年にトロント交響楽団の音楽監督に就任する頃には、既に若いながらも場数を踏んだ経験豊かな指揮者へと成長を遂げていました。同じ頃に開始されたレコーディング活動も、ソニーを中心に積極的におこなわれました。 その後、1988年にグラインドボーン音楽祭の音楽監督に任命され、翌1989年にはBBC交響楽団の首席指揮者に就任していますが、2000年からはシカゴ・リリック・オペラの音楽監督を務めて現在に至っています。【ホルスト・プロフィール】『惑星』で有名なイギリスの作曲家グスターヴ・ホルストは、1874年9月21日、英国グロースターシャー州のチェルトナムにスウェーデン移民の子として生まれます。父は音楽教師、母はピアニストだったこともあって、家庭環境は非常に音楽的でした。1887年、チェルトナム・グラマー・スクール入学。1891年、同校卒業。管弦楽のための間奏曲、スケルツォ作曲。1892年、ウィック・リッシントンでオルガニストの職に就きます。管弦楽のための葬送行進曲、交響曲ハ短調、オペレッタ『ランズダウン城』作曲。 1893年、王立音楽大学に入学して作曲を専攻。ボレロ、弦楽四重奏のための主題と変奏曲作曲。1894年、腕の神経炎のためピアノの代わりにトロンボーンを修めることになります。ピアノ五重奏のためのエアーと変奏曲、ピアノ、ヴァイオリン、チェロのための短い三重奏曲、子供のためのオペレッタ『ヴィオレット』作曲。1895年9月、生涯の友、ヴォーン・ウィリアムズと出会います。1896年、ハマースミス聖歌隊の指揮者に就任。 イザベル・ハリスンと婚約。オーボエと弦楽四重奏のための幻想曲、オペラ『魔法の鏡』、子供のためのオペレッタ『理想』作曲。1897年、冬の静寂、弦楽六重奏のためのスケルツォ作曲。Powered by HMV