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ブルックナー:交響曲第5番クナッパーツブッシュ指揮ミュンヘン・フィル「...ライヴだけあってウィーン盤よりも表情や響きがいっそう濃密である。オーケストラの音色もウィーン・フィルの弦の甘美さを持たない代わりに、素朴で誠実な良さがある。第1楽章の金管強奏はこのほうが熱く、終楽章コーダの凄味も特筆もの...」(宇野功芳 クラシックプレス 11 より)1959年3月19日ライヴ録音(モノラル)。DECCA盤を上回る名演とマニアに大人気の演奏が素晴らしいクオリティで蘇りました。コントラバスのマッシヴな低音からシンバルの高音に至るまで、歪み感少なく再現した実に水準の高いマスター・テープ、及びリマスタリングで、木管や金管、ティンパニも克明に聴きとれるため、当時のミュンヘン・フィルのオーボエの鄙びた美しさなども魅力十分に響いてきます。 たとえば、全曲のクライマックスである 第4楽章コーダ でのとんでもなく巨大なスケール感と凄まじいエネルギー・レヴェルが、ここでは力強くクリアーな音で体感できるため、あらためてクナッパーツブッシュの音楽の底知れぬ魔力に呪縛されてしまうこと請け合いです。この年代のライヴ録音としては最上の部類に属する素晴らしい音質だと言えるでしょう。  演奏は全体に、ライヴのクナッパーツブッシュならではのアクティヴな音楽の表情、強烈なコントラストと味のあるアゴーギクがたいへんに効果的なもので、第1楽章冒頭のピツィカートから、ドスの効いた低音と動的な表情がたまりません。第3主題も素朴な逞しさと無垢な美しさが並存する見事な演奏であり、絶妙すぎるテンポ・ルバートと共に忘れがたい感銘を与えてくれます。 クナッパーツブッシュが愛好した「シャルク改訂版」による演奏のため、原典版に慣れた耳には驚く個所もいくつかありますが、第4楽章フーガおよび二重フーガにおけるティンパニ追加や、コーダでの賑やかな打楽器追加など、演奏が良いためむしろ効果的と思える部分も少なくないのが面白いところ。 なお、当CDでは、昔のライヴ録音に時おり見られる、ロング・ケーブルによる放送受信現象(アンテナ効果)が、数箇所で僅かながら確認できますが、演奏の素晴らしさの前ではほとんど気にならないレヴェルといえます。 余白には、1963年11月15日に収録されたシュトゥットガルト放送交響楽団とのブラームス《悲劇的序曲》を収録。Powered by HMV
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