シェーンベルク生誕150年記念。繊細なタッチと絶妙なペダリングがもたらす、バランス感覚に優れた新ウィーン楽派の音楽エリーザベト・レオンスカヤのこのアルバムは、アルバン・ベルク[1885-1935]、アルノルト・シェーンベルク[1874-1951]、アントン・ヴェーベルン[1883-1945]の作品を収録した、新ウィーン楽派に敬意を表したものです。 レオンスカヤは、現代で最も称賛されているピアニストのひとりであり、自分自身と音楽に忠実であり続けることで、スヴィヤトスラフ・リヒテルやエミール・ギレリスなどソビエト時代の偉大なロシア音楽家の足跡をたどっており、偉大な音楽の伝統(ロシアとウィーンの両方)の旗手として称賛され、その探求心でそれらを刷新しています。2022年、オブザーバー紙は「『伝説的』という言葉は厳重に控えるべきものです。ソビエト生まれのオーストリアのピアニストには、この言葉はぴったりです…70歳代にもかかわらず、年齢の半分の演奏者のようなエネルギーと機敏さを持ち、演奏には長年の知恵が詰まっています…レオンスカヤは存在感があり、その力強さと活力は衝撃を与える力を持っています」と書いています。また、2020年にドイツの権威あるオーパス・クラシック賞を受賞した彼女は、音楽の真実を尊重する解釈者として称賛されています。 シューベルト、ベートーヴェン、ショパンなど古典派からロマン派の作品を得意とするレオンスカヤですが、これまでの録音で彼女が手掛けてきた近代作品は、お国物とも言えるムソルグスキー、スクリャビン、そしてショスタコーヴィチが挙げられるくらいで、このアルバムに収録された新ウィーン楽派の作品は、聴き手にとっても意外なものと言えるでしょう。半音階技法や無調、十二音技法を用いたこれらの作品は旋律美を堪能するよりも機能する音型に目を向けるもの。彼女が得意とする「歌う」曲とは趣を意にするものかもしれません。しかし冒頭に置かれたヴェーベルンの最初の一音を聴いただけで、この曲がウィーンの伝統を色濃く受け継いでいることに納得するはずです。「私が演奏するとき、ステージ上で自分自身を披露しているのではなく、演奏している音楽を披露しているのです。重要なのは音楽なのです。」と彼女が語っていますが、その繊細なタッチと絶妙なペダリングがもたらす彼女の演奏は、節度がありながらも、端々に漂うロマンティックな香りが無機質とも言えるソナタに彩りを与えています。バランス感覚が優れたレオンスカヤならではの美しい新ウィーン楽派の作品をご堪能ください。 2024年のシェーンベルク生誕150年の日に合わせて、9月13日に発売となります。ワーナーミュージック・ジャパン取り扱い輸入盤のみ、日本語解説書・帯付き。日本語解説書には、オリジナルブックレットの解説の日本語訳と、相場ひろ氏により書下ろし解説を掲載。(輸入元情報)【収録情報】● ベルク:ピアノ・ソナタ Op.1● ヴェーベルン:ピアノのための変奏曲 Op.27● シェーンベルク:6つのピアノ小品 Op.19● シェーンベルク:組曲 Op.25 エリーザベト・レオンスカヤ(ピアノ) 録音時期:2023年5月9-11日 録音場所:ドイツ、ブレーメン放送ザール 録音方式:ステレオ(デジタル) ワーナーミュージック・ジャパン取り扱い輸入盤のみ、日本語解説書・帯付きPowered by HMV