★雄鶏社のあの名著が新図案を追加して復刻されました!クロスステッチはフランスが本場。そのことを示唆するかのように、いまは閉館となってしまったDMCミュルーズ美術館には、歴代クロスステッチの数々が大切に保存されていました。30年代、50年代につくられたものです。美しく刺された見本の刺繍。パステルや、ガッシュ(水彩絵の具)で描かれた原画は、少し色あせてはいるけれども、それがかえって年代を感じさせてくれます。本当はこれらをそっくりそのままご紹介できればよいのですが、そこは門外不出の品々のこと、オリジナルの内容を、日本のベテラン刺繍家の先生たちの手で、ひとつひとつを丁寧に復刻し、刺し方も含めて読者の方々に分かりやすくご紹介したのがこの本です。休日に釣りを楽しむ男の子、クロッシュ型の膨らんだスカートをはき、釣果を見守る女の子…、30年代フランスのなつかしい光景が刺繍でひろがります(p15)。両手に拳銃のカーボーイや、いまにも走り出しそうなスポーカーは大国アメリカの象徴(p34-35)、時代を物語る記録性の高い刺繍です。ほか、アルファベットの刺繍、黒糸だけで刺すモノクロームの刺繍、物語をつづる「白雪姫」の刺繍、犬や鳥、花のワンポイントの刺繍からかんたんなボーダー柄の刺繍まで、どれもがいま見てもかわいらしいうえに刺しやすい、(本場ならではの)クロスステッチのお手本です。この本の極めつけは、民族衣装を着た各国の女性たちの刺繍(p6-9)。衣装の細部まできちんと描かれているこの刺繍は、児童書作家ジャクリーヌ・ヴェルリ1933年の作。大戦5年前という時期も時期だったのでしょう、本国で未公開だったこの刺繍の愛らしさはとびっきりです。★本書は旧版『クロスステッチ ノスタルジア』(2005年 雄鶏社刊)に16ページ増やし、新図案20余点とテクニック解説を新たに加えています。 【図案制作】Jacqueline Verly,Erma York,Kantesky,Montandonほか【作品デザイン】勝屋まゆみ(デザイナー)【刺繍制作】大塚あや子(刺繍作家)、西須久子、伊東保子、奥村美紗子、吉川真理子(ともに刺繍家)【文】吉村葉子(日仏文化研究家)【テクニック監修】西須久子、伊東保子