レスピーギ:ローマ三部作ネシュリング&サンパウロ響表現力豊かで色彩感に富む演奏で知られるサンパウロ交響楽団とネシュリングによる注目盤。 指揮のジョン・ネシュリングは1947年サンパウロ生まれのブラジルの指揮者で、シェーンベルクやボダンツキーの血を引くという人物であり、スワロフスキー、バーンスタインの薫陶を受けたというキャリアの持ち主。おまけに『蜘蛛女のキス』など個性的な映画音楽も数多く作曲するという多彩な才能の持ち主でもあります。 ネシュリングは1997年以来、サンパウロ交響楽団の音楽監督を務めていましたが、2009年に楽団事務局のトップと争い同ポストを解任させられてしまいます。揉めた相手はマルクス主義社会学者で、外務大臣、財務大臣を歴任し、インフレ率2700%というハイパー・インフレを通貨政策によって封じ込め、徹底的に自国を保護、大統領にも選ばれたフェルナンド・エンリケ・カルドーゾ[1931- ]。ネシュリングは契約期間満了までまだ1年を残していましたが、この決定には従わざるをえなかったようです(後任はヤン=パスカル・トルトゥリエ)。 このレスピーギのアルバムがいつ録音されたものかはまだわかりませんが、そんな事情もあって、ネシュリング監督とサンパウロ響のおそらく最後を飾る時期に収録されたものとして、オーケストラ好きには注目度の高いアルバムなのではないかと思われます。 ネシュリング&サンパウロ響コンビの大きな特徴でもある色彩豊かな響きと抜群のリズム感は、『ローマ三部作』にはふさわしいものですし、さらに優秀録音で知られるBISレーベルによるセッション録音とくれば大いに期待できるというものです。(HMV)【収録情報】レスピーギ:・交響詩『ローマの噴水』・交響詩『ローマの松』・交響詩『ローマの祭』 サンパウロ交響楽団 ジョン・ネシュリング(指揮) SACD Hybrid CD STEREO/ SACD STEREO/ SACD SURROUNDPowered by HMV