<次なる難事は、後宮を出奔した皇后宮を連れ戻すことーー!?> 怪異や難事件の駆け込み寺・薄紅の姫。中宮を狙う"鬼"の事件を落着させ、その昼の姿である末席の女房として念願の書司(ふみのつかさ)となった。 一方、静かに読書にふけりたい夜の薄紅の元には、願いと反して親しくなった晴明の孫・奉親(ともちか)が訪ねて来ては面倒に巻き込んでいく。 そんなある日、彼女は後宮の蔵書破損をきっかけに密命をくだされる。後宮を去ってしまった皇后宮を連れ戻せーーと。 後宮の祈祷も担う奉親とともに、この難題に挑むことに。物語知識を駆使するものの、皇后宮は断固として戻ることを拒否し……。序第一章 昔、后の難題に悩む女房ありけり第二章 仏の御石の鉢も蓬莱の珠の枝も第三章 二人の『伊勢物語』第四章 ゆく蛍は月に帰るかりそめの結び