初期バロック・ヴァイオリン音楽の至宝!フォンターナ:ソナタ全集(2CD)ルクス・テッレ・バロック・アンサンブル1630年に北イタリアで大流行したペストにより41歳で死去したヴァイオリニスト・作曲家のジョヴァンニ・バッティスタ・フォンターナは、死後11年目にヴェネツィアで出版された全18曲から成る「ソナタ集」によって知られるのみですが、これがなかなかの佳曲揃いで、これまでに全曲録音2種、まとまった抜粋録音5種のほか、個別の曲にも数多くの録音が存在していました。 今回登場するルクス・テッレ・バロック・アンサンブルによる演奏は、フォンターナが優れたヴァイオリニストであったことから、初期バロック・ヴァイオリン音楽の最も重要な作曲家と位置付けて解釈したもので、1995年に録音されたアンサンブル・ソヌリー盤とは各曲の楽器編成が大きく異なっているのが興味深いところです。 ブックレットには、リーダーのネイサ・コーパによる解説も掲載されています。▶ Brilliant Classics 検索 作品について解釈による演奏の違いが大きい作品楽譜の表紙には「ヴァイオリンまたはコルネット、ファゴット、キタローネ、ヴィオロンチーノまたは同様の楽器のための1声、2声、3声のソナタ」と書かれています。 当時のコルネットは木製で縦笛状。ファゴットは当時の楽譜ではファゴットの前身であるドゥルシアンのことを指す場合が多かったようです。キタローネはテオルボとほぼ同じネックの長大な大型リュート属楽器。ヴィオロンチーノは小型サイズのチェロ。 要するに固有名詞では弦楽器、管楽器、撥弦楽器のことしか書かれていませんが、「または同様の楽器」の部分には鍵盤楽器などいわゆる通奏低音楽器が含まれるため、実際の演奏では、チェンバロやポジティヴ・オルガン(小型オルガン)が追加されます。 各ソナタは単一楽章で、1声のソナタ(1声の独奏楽器+通奏低音楽器)が6曲、2声のソナタ(2声の独奏楽器+通奏低音楽器)が6曲、3声のソナタ(3声の独奏楽器+通奏低音楽器)が6曲の計18曲という構成。 それぞれのソナタの楽器編成は、音域・書法などで判断して運用されるため、演奏家の解釈によって、異なるものとなってきます。 演奏と競合盤について新録音はヴァイオリン音楽に寄せた解釈による演奏今回の録音は9人編成で演奏されたもので、使用楽器は、バロック・ヴァイオリン、ルネサンス・ソプラノ・フルート、バス・ドゥルシアン、ヴィオラ・ダ・ガンバ、チェロ、テオルボ、アーチ・リュート、チェンバロ、オルガンの9種類。 楽譜表紙の言葉への対応状況は以下の通りです。 ヴァイオリン → バロック・ヴァイオリン コルネット → ルネサンス・ソプラノ・フルート ファゴット → バス・ドゥルシアン キタローネ → テオルボ、アーチ・リュート ヴィオロンチーノ → ヴィオラ・ダ・ガンバ、チェロ または同様の楽器 → チェンバロ、オルガン 有名なアンサンブル・ソヌリー盤と比較するとこうなります。かなりの違いです。以下、参考までにこれまでに録音された全曲&抜粋盤の概要を年代順に記しておきます。12曲抜粋録音 クレメンチッチ・コンソート(オーストリア)1988年、ウィーンでの録音(Accord)。第9・6・8・2・14・4・10・3・1・16・5・11番を収録。 8人編成で、使用楽器は、バロック・ヴァイオリン、コルネット、フルート、ヴィオロンチーノ(小型チェロ)、バロック・ファゴット、キタローネ、チェンバロの7種類。 楽譜表紙の言葉への対応状況は以下の通りです。 ヴァイオリン → バロック・ヴァイオリン コルネット → コルネット、フルート ファゴット → バロック・ファゴット キタローネ → キタローネ ヴィオロンチーノ → ヴィオロンチーノ(小型チェロ) または同様の楽器 → チェンバロPowered by HMV