「ヴァイオリン学習者が最初に取り組むエチュード」として学習者必携の王道教材であるカイザー教本。92〜93年にかけて山岡耕筰編纂のもと刊行されたが、その後絶版。しかし多くの要望の声を受け、復刊となった。最大のポイントは、他では手に入らない伴奏譜(第2ヴァイオリン/ピアノ)の存在。第2ヴァイオリンで先生とデュオ、またピアノがあればピアノ伴奏でさらに充実したアンサンブルができる。退屈と思われがちなカイザーをアンサンブルすることで飽きずにレッスンでき、またヴァイオリン教育現場でもますます重要視されてきている「ハーモニー感の中で弾くこと」の一助となろう。第3巻では、第7ポジションまで網羅、曲の規模も大きくなり、内容はより豊かで変化にとんだものとなる。第2ヴァイオリンやピアノ・パートを見れば、カイザーの本来の意図をより深く読みとることができ、山岡氏による各練習曲に対する惜しみない研究が反映された解説も必見。他にはないカイザー解釈に触れることができる。