日本語は乱れている。病気に喩えれば、日本語は重篤かもしれない。名の混乱は、パラダイムの混乱。孔子にならい、呉智英も言う。「必ずや名を正さんか」と。「言葉と思想」「言葉と文化」について知の面白さを開示する。目からウロコが落ちる知的エッセイの名著全4冊を【増補新版】連続刊行! 各紙で絶賛された呉智英「正しい日本語」シリーズ、待望の令和最新版がベスト新書で堂々発売!【はじめに】ロゴスの名はロゴスカメラに「フイルム」を入れるのが日本式なのだ/「超」だの「ド」だのがついても由緒正しい言葉がある/大きい「ツ」と小さい「ッ」には本質的なちがいがある/歴史的仮名遣ひって論理的でせう/白線までさがるのは「危険ですから」か「危ないですから」か/東日本の訓読みと西日本の訓読み/意味がなんとなく通る時、誤用は見逃しやすい/「攻め合って」「防ぎ合う」から「せめぎ合う」なのか?/日本人は音声だけでなく文字でもしゃべっている/単語の日本語訳と語法の日本語訳/「鹿」と「猪」と「獅子」はどうつながるのか/「鍵」に当たるのがアメリカ人、「鍵」に乗るのが日本人/「r」と「R」、発想のちがい/「ドれミ」ときたら「ソらシド」だよ/月や雲に命令してどうするの/牛から落馬することもある/世界に広がる日本的怪獣命名法/女王様といも姉ちゃん/照る山」や「きら星」はまだいいけれど/「武士」は明治以後出番が多くなった/「祭」が「神」のことだなんて、この漢字じゃわからないよ/料理のイルカは魚偏/コンパスと数式/可愛いわがままの陰に犠牲あり/「人生論」と「人性論」/若い歌手がサビていてどうする/御飯も新婚夫婦も「あつあつ」か/「税金天国」は無知の天国/半疑問と一字余白の疑問/「てらい」で正しいかどうか「ためらい」はないのか//お茶の色と桜餅の色/夢の半面/日本人がスープを音を立てて「飲む」理由/「立ち上げ」を満足する解釈を求めよ//上がる「ない」と下がる「ない」/「阿」はどちらの「ねる」か/「弁理士」と「弁護士」は仕事も違うし字も違う/外来語を使う時は「リゴリズム」で/「精神」や「神経」のどこが神なのか/言葉の冤罪に慨嘆/朝から始まるか、朝で終わるか/いろは歌、清むと濁るで大ちがい/大和言葉の数詞と論理性/憶えにくい「帰納」と「演繹」/赤の広場の白い人たち/上弦の月だったっけ、みょうに忘れっぽいね/「憮然」と「愕然」、どっちが内向的でどっちが外向的/「ひだるい」倦怠感て何だ?/「いわく」と「のたまわく」/死語に濡れぎぬを着せる差別語狩り