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レイボヴィッツによる『グレの歌』、復活! 《グレの歌》は最初、シェーンベルクがまだ若い頃に一編の歌曲として書き上げられ、その後巨大化の道を歩んだという後期ロマン派風の作品。ワグネリズムの影響、特に《神々のたそがれ》や《さまよえるオランダ人》を髣髴とさせる場面があるなど、シェーンベルクらしからぬ親しみやすさと、通常のレパートリーではおそらく最大音量と言われるその迫力ある音調と変化に富む曲調から、これまでにも注目すべきレコーディングがいくつもおこなわれてきました。 実際、5管編成オーバーで150人近い巨大なオーケストラと、300人近い大合唱を要するという編成の巨大さゆえに実際の上演の数が非常に少ないことを考えれば、録音の数はむしろ多いとさえいえるほどで、ストコフスキーからラトルにいたるまで、個性豊かな演奏が目白押しです。 今回復活したレイボヴィッツによる録音は、この大作初のセッション・レコーディングとして有名なもので、膨大な編成のオーケストラと合唱を、名録音技師アンドレ・シャルランが手際良くまとめ、モノラルながら今でも十分通用するクオリティを確保しているのがポイント。 シェーンベルクの弟子にして忠実な伝道者でもあったレイボヴィッツの解釈は、演奏時間約119分と、後のブーレーズ盤(約115分)や、ケーゲル盤(約121分)と同様、遅めのテンポがとられたもので、クーベリック盤(約97分)などに較べると、細部情報を重視した重みのある雰囲気が独特の魅力を放っています。 《グレの歌》は、実在のデンマーク国王ヴァルデマール(在位1157-1182年)をめぐる伝説にもとづいています。国王とその愛人トーヴェとの悲しくもグロテスクな物語のあらましは以下の通りです。 この手の寓話に良くあるパターンですが、国王ヴァルデマールには嫉妬深くわがままな妃がおりました。嫌気がさしたヴァルデマールは、トーヴェという美しく気立ての良い女性を愛人とし、グレの地にある狩猟用の城郭で逢瀬を重ねます。 が、ほどなく不倫は妃にも知れるところとなり、やがてトーヴェは妃によって毒殺されてしまうのです。ヴァルデマール王は激昂して神を呪ってしまいそれが原因で天罰によって命を落とすこととなり、おまけにその魂は昇天することが許されず、大勢の兵士の幽霊を引き連れトーヴェの魂を求めて夜な夜なグレの地を徘徊することになってしまいます。 時は流れ夏の嵐に替わって実りの秋が到来。収穫の季節にふさわしく農夫も登場し、やがて道化師と語り手も登場して、幽霊たちの壮絶な合唱を交えながらも、二人の魂の救済に向けて盛り上がりをみせます。最後は混成8部合唱による壮大な太陽の賛歌となっており、女声合唱の参加による色彩の変化が、魂の救済の可能性を暗示しているかのようです。■シェーンベルク:グレの歌リチャード・ルイス(ヴァルデマール)エセル・セムサー(トーヴェ)ネル・タンジェマン(森の鳩)フェリー・グルーバー(道化師クラウス)ジョン・ライリー(バス)モリス・ゲゼル(語り)ルネ・レイボヴィッツ(指揮)パリ新交響楽協会管弦楽団、合唱団録音:1953年9&10月、パリ、アポロ劇場エンジニア:アンドレ・シャルランDisc11 : Gurrelieder2 : Gurrelieder3 : Gurrelieder4 : Gurrelieder5 : Gurrelieder6 : Gurrelieder7 : Gurrelieder8 : Gurrelieder9 : Gurrelieder10 : Gurrelieder11 : Gurrelieder12 : Gurrelieder13 : GurreliederDisc21 : Gurrelieder2 : Gurrelieder3 : Gurrelieder4 : Gurrelieder5 : Gurrelieder6 : Gurrelieder7 : Gurrelieder8 : Gurrelieder9 : GurreliederPowered by HMV
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