ドビュッシー、ガーシュウィン、ストラヴィンスキー、ケージ……音楽上の革新はどのように楽譜に書き記されたのか。演奏家×作曲家×音楽学者のコラボレーションによる知的興奮あふれる講義録!伝統的な音楽語法に飽き足らず、まったく新しい表現を模索した20世紀の作曲家たち。彼らは音楽記号を変形したり、新しく考案したり、五線を使わない記譜法を開発したりして、みずからの着想を書き記そうとした。ドビュッシーの静寂・沈黙の音楽はどう記譜されたのか。ストラヴィンスキーの原始主義はどのように記述されているのか。ガーシュウィンはジャズのイディオムをどう楽譜で表現したのか。ケージやヴァレーズの実験性は楽譜からどう読みとれるのか──作曲家、音楽学者、演奏家がタッグを組み、作曲家たちがおこなった〈紙の上の革命〉の真相を明らかにする。国立音楽大学でおこなわれた知的興奮あふれる連続講義を書籍化。ジャズ・ピアニスト小曽根真のガーシュウィン論も収録!はじめに第1章 20世紀音楽の楽譜を読む──作曲家の発想の変化が楽譜の変化を生む白石美雪 聞き手:久保田慶一第2章 あふれる想いを書き綴った楽譜──ドビュッシーの静寂・沈黙の音楽森垣桂一第3章 原始のエネルギーはどのように楽譜化されたか──ストラヴィンスキーの原始主義白石美雪+池原舞第4章 民俗音楽の採譜と作品の記譜──バルトークのヴァイオリン音楽伊東信宏第5章 革新的な発想で書かれた楽譜──ロシア・アヴァンギャルドの音楽中田朱美第6章 ジャズのイディオムはどのように楽譜化されたか──ガーシュウィンのシンフォニック・ジャズ小曽根真第7章 語りと歌の狭間で──シェーンベルクの表現主義長島剛子+梅本実第8章 新しい音律を求めて──パーチの創作楽器柿沼敏江第9章 内部奏法からプリペアド・ピアノまで──カウエルとケージの新しいピアノ白石美雪+井上郷子第10章 極小形式と楽器法──ひとつの根本思想から発展するヴェーベルンの音楽安良岡章夫第11章 ノイズに満ちた音楽を書きとめた楽譜──ヴァレーズの音楽森垣桂一+福田隆第12章 リリカルな表現の記譜──ベルクの音楽土田英介第13章 さまざまな音楽要素が混在する音楽──ストラヴィンスキーの新古典主義《兵士の物語》森垣桂一第14章 同時代そのものがひしめく機械とノイズの音楽──ヒンデミットの時事的音楽長木誠司楽曲解説/年表あとがき索引