本書は、アメリカでもっとも成功したプロデューサーのひとりについての物語である。マイルス・デイヴィス、ダイアナ・クラール、リッキー・リー・ジョーンズ、バーブラ・ストライサンド、ジョージ・ベンソン、そしてウィリー・ネルソンなどの影響力を誇るアーティストたちとともに手掛けた彼の作品は、7,500万枚のレコード・セールスを記録した。本書はシチリアのある田舎の泥道での殺人事件に始まり、グラミー賞のレッド・カーペットに5回も登場することになるという話で幕を閉じる。密造酒造りの男たちやギャング、芸術家、ヒップスター、そして世界中のポップ・カルチャーを変えた音楽産業に触れた、ホレイショ・アルジャー(訳注:アメリカの小説家。アメリカン・ドリームの象徴とされる)流冒険物語の実話版である。本書はいかに音楽がひとりの男の人生の救いとなり、さらに彼が数えきれないほど多くの人々の生き方に影響を与えるまでになったか、ということに関する極めて個人的な記述である。