ブラームスが意図したのはどのような演奏だったのかーーブラームスの同時代に活躍し、直接に関わりのあった弦楽器奏者、ピアニストの残した文献・録音・手紙から、この問いに迫る。ピアノ演奏での「ずらし」やアルペッジョ奏法、弦楽器演奏でのヴィブラートやボウイングのニュアンス、そして強弱記号に込められた意図や柔軟なリズムなど、ブラームス演奏の本質に近づいていく。ブラームスの室内楽作品の演奏法について、一次資料をもとに最新の研究成果を盛り込んで説き明かした一冊。実際に入手可能なブラームスと同時代の奏者の音源情報も豊富に紹介。ブラームスを演奏する全てのピアニスト・弦楽器奏者にとっての必読書である。1 19世紀当時のブラームス演奏、その全体像テンポ、ルバート、リズムの柔軟性/アーティキュレーション2 弦楽器の演奏習慣ヴィブラート(音のニュアンス作り)/ポルタメント(表現豊かな運指法)/ボウイング3 ピアノ演奏旋律の強調、音楽の構造、アゴーギク/ブラームス/ブラームスと同時代のピアニストが残した録音/当時の文献・資料/ペダリング/ブラームスのペダル記号/ブラームスと親しいピアニストによるペダル奏法/ウナ・コルダ・ペダル4 ブラームスとチェロ演奏習慣の歴史と変換付録:ブラームス主要作品中のウナ・コルダ指示