一倉定(1918-1999)は、群馬県出身の伝説的な経営コンサルタント。1万社を超える企業を指導し、多くの倒産寸前の会社を立て直した。苛烈なまでに経営者を叱り飛ばす姿から「社長の教祖」「炎のコンサルタント」などの異名を持つ。「ダメな会社はトップがすべて悪い。人のせいにするな、部下のせいにするな、環境のせいにするな」が基本方針。空理空論で経営する社長や、利益のみを追求する社長は烈火のごとくに叱り飛ばすとされ、「こんなに叱られるのは生まれて初めてだ」「講義と聞いて来たが、これは講義ではない、落雷だ」などとその体験を述べる経営者もいる。後継者に不安を抱く創業者からも人気で、いわばダメ社長の再生人として没後もなお、不動の地位を誇っている。「経営とは『外部』に対応するものであって、断じて企業の『内部』に対応するものではないのだ」「事業経営の成否は、99%社長で決まる」「いい会社とか悪い会社とかはない。あるのは、いい社長と悪い社長である」「電信柱が高いのも、郵便ポストが赤いのも社長の責任である」「事業経営にきれいごとは危険である」「ボロ会社ほどスローガンが多い」 等々、名言がたくさんあり、著書は、ドトール、ユニ・チャーム、トステムなどの創業者たちのバイブルともなっている。現在活躍している経営者や士業にも熱心な信奉者は多い。 この一倉定の「社長学」は日本経営合理化協会から「一倉定の社長学 全10巻」としてまとめられているが、大部で難解。そこで、より平易に、図解によって全貌をコンパクトに書籍化するのが本書である。