本書では、企業の国際戦略選択という視点と企業全体の中での在外子会社の有するケイパビリティと役割というコンテクストを重視している。したがって、本社と在外子会社との間や在外子会社間での相互依存関係の視点から国際経営に関わる問題を扱っている。本書の特徴は、従来あまり扱われてこなかった経営戦略論と組織論の側面から国際経営にアプローチし、日系在外子会社に対する実証研究を行っている点である。その際、本書では「グローバル戦略経営」というタイトルを掲げることによって、戦略と組織の相互関係およびその一体的関係を強調した。ここにいうグローバル戦略経営とは、国際競争を勝ち抜くために競争優位を確立ないし形成し、それを維持するための戦略的な経営のあり方を問うものである。本書では、うえのような問題の認識、日本企業の国際経営の現状と課題、および方向性を提示した。