気取らず、ユニークで、役に立つ。これぞ魚返流漢文学習法!魚返先生は、学習者として、そして教師として長年深く漢文に関わり、「漢文とは一体なんだろう?」と長年頭をひねってきた人です。その先生が導き出した答えは、「漢文は符号語であり、一種の暗号言語である」というものであります。では、この──現代中国人にすら読解が極めて難しい──暗号言語を、われわれ日本人はどのように学習していくべきでありましょうか。それにはまず、漢文に対する誤解を取っ払い、暗号の法則(文法)をつかみ、そして幅をもたせて訓読していくことである、と魚返先生は語ります。本書は気取らない文体で書かれた「学び方」の参考書でありますが、現代、そして未来の読者が漢文の本質に近づくとともに、あわせて日本語の姿をかえりみるよすがにもなると信じ、七〇年ぶりにこの名著を復刊するものであります。※本書は1953年至文堂刊行の原著に、例文の詳細な出典を追加するなどし、 より読みやすく、より学びやすくした復刊書籍です。※本書は所謂「受験用漢文の参考書」とは異なります。一 漢文は誤解されている二 話し言葉と書き言葉三 文体のX・Y・Z四 漢文の始まり五 竹ベラにウルシで書く六 漢文は暗号である七 漢文はラテン語以上八 漢文訓読の理由九 漢文とシナ語は別物一〇 漢文と国語の関係一一 学習者の出発一二 漢文的なもの一三 漢字を正確におぼえよ一四 部首と音訓索引一五 「形・音・義」「義・音・形」一六 漢語と「漢語まがい」一七 中国の連語と日本の漢語一八 漢文調の日本文一九 本格的な漢文二〇 過去の教科書二一 現在の教科書二二 教科書の批判二三 純粋漢文と古典文学二四 訓読は幅を広く二五 漢文音読論の批判二六 漢文の文法二七 主体語(subjectives)二八 代名詞(その一) 練習問題(一)二九 代名詞(その二)三〇 代名詞(その三)三一 代名詞(その四) 練習問題(二)三二 名詞(その種類)三三 名詞(その構造) 練習問題(三)三四 名詞の同類三五 説明語(descriptives)三六 動詞(完全と不完全)三七 繋詞 練習問題(四)三八 助動詞三九 形容詞 練習問題(五)四〇 副詞(その一)四一 副詞(その二) 練習問題(六)四二 連結語(connectives,その一)四三 連結語(その二) 練習問題(七)四四 連結語(その三)四五 表情語(ejaculatives,その一) 四六 表情語(その二)四七 表情語(その三)四八 漢文のテクスト四九 漢文と華語の距離五〇 古代の詩の見本五一 古代の論説文五二 中世の散文の見本五三 中世の詩の見本五四 近世の文語文五五 現代の文語文五六 日本漢文の見本五七 中国人と文学五八 殷・周の時代五九 漢・六朝六〇 唐の文と詩六一 宋・元時代六二 明・清の小説六三 現代中国の文学附録 魚返善雄著作一覧