クローチェによって描かれた幼いモーツァルトと姉ナンネルが並んで1つの鍵盤の前に座っている有名な「家族肖像画」があるように、4手のクラヴィーア演奏はモーツァルトにとって重要な役割を果たしていた。このジャンルは、モーツァルトによって最初の興隆を迎えたと言われている。2台ピアノ用の作品に比べると、家庭的な用途をもつものだけに、軽やかさ、楽しさが際立った作品が揃っている。本エディションでは、第1ピアノと第2ピアノを見開き別ページ(オンラインで公開している『新モーツァルト全集』はこの方式)にせず、スコアと同じように同一ページに上下に並べて掲載しているので、全体の構成をつかみやすくなっているのが大きな特長。収録曲は《ソナタKV 381》、《ソナタKV 358》、未完の断片を新たにR.D.レヴィンが補筆完成した《アレグロとアンダンテ(ソナタ)KV 357》、《ソナタKV19d》、《幻想曲KV594》、《幻想曲KV 608》。ソナタ Sonata KV 381/ソナタ Sonata KV358/アレグロとアンダンテ(ソナタ)Allegro and Andante (Sonata)KV 357(レヴィン補筆完成)/ソナタ Sonata KV19d/幻想曲 Fantasia KV594/幻想曲 Fantasia KV608