多くの人に惜しまれつつ2018年にこの世を去ったアニメーション監督・高畑勲。『太陽の王子ホルスの大冒険』から『かぐや姫の物語』にいたるまでの自らの仕事や、影響を受けた人々や作品、苦楽をともにした仲間たちについて縦横に語り、綴ったエッセイをまとめる。巨匠の人間像に幅広く迫る生前最後のエッセイ集、待望の文庫化。1 日本の文化とその風景 加藤周一『日本 その心とかたち』をめぐって 闇と光 暮らしのそばに農村景観を維持する2 日本語を話すとき 蝶々談義 この世を力いっぱい生きたかった宮澤賢治 日本語の音韻ーーアニメーション映画制作から見えてくるもの3 子どもという存在 石井桃子さんから学んだこと〈対談 宮崎駿〉--子どもがほんとうに喜ぶ作品をつくる 子どもの「尊厳」をとらえた稀有な画家,いわさきちひろ4 一緒にやってきた仲間たち タエ子の顔のいわゆる「しわ」について わたしの知る井岡さんの画業 われらが同志,小田部羊一 寺田寅彦に見せたかった 里山に開かれた窓 『火垂るの墓』から,はや二十四年 追悼・氏家齊一郎 山本二三さんの美術5 漫画映画のつくりかた 今村太平から得たもの レイアウトはアニメーション映画制作のキイ・ポイント 脳裏のイメージと映像のちがいについて6 尊敬する,刺激しあう ジョン・ラセターとピクサーを讃える 戦争・国境・民族・民俗ーーバックさんの自伝を読んで 日本文化への警鐘と愛 水に落ちたハリネズミはなぜあがかないのか 「思い残し切符」 『キリクと魔女』の世界を語る7 こんな映画をつくってきた 見習い時代に目撃し,学んだこと 『赤毛のアン』はユーモア小説 TVシリーズ「世界名作劇場」のこと 8 伝えたい,このこと 戦争とアニメ映画 後輩の皆さんへのお願い9 監督,ある日の姿,ある日の考え 『竹取物語』とは何か ゴキブリ体操 アニメ映画とフランス 老人向き ホトトギスの謎 お国自慢 禁煙レポートあとがきにかえて高畑さんの黒い革靴のたくさんの足跡……………片渕須直