わび茶の完成者として知られ、群雄割拠する戦国という世を生きた歴史上の偉人のひとり「千利休」--とはいえ長い歴史と広い世界を俯瞰したとき、いかなる偉人であっても、たった一人の人物など「1つの点」に過ぎません。しかし、この「千利休」という「1つの点」を開いてみたとき、客人や茶そのものに対する姿勢、つまりは利休の「生き様」というものが、あまりにも強い光を放っていることに気づかされるのです。長い時間を過ぎても朽ちることのない、むしろ新鮮なまでのその光は、現代の世を生き抜こうとする私たちが仕事に対して取るべき姿勢に、そのまま反映・応用させることができるのではないでしょうか。 本書では、利休の人物像や様々なエピソードに「現在」というフィルタを通して、仕事に対して取るべき姿勢を、132の言葉に細分しています。そのうちの1つでも心に響き、現代社会を生き抜くための仕事術、自分らしさを貫く姿勢を見出していただければ幸甚です。「何を伝えたいのか」「著者は何が言いたいのか」という書き手上位の見方ではなく、「なぜ、この本を手に取ったのか」という潜在意識に立ち返り、そのことに向き合いながら、1つ1つの項目を読者一人ひとりの感性で心に浸透させていただければと思います。 濾過された後に残るものが、今のあなたに必要な言葉となれば幸いです。